滋賀県東近江市のホールにて開催された文化公演会の音響(PA)業務を担当させていただきました。
今回は歌唱やピアノ演奏がメインだったため、「歌手の声が客席のどこにいてもクリアに聞き取れること」はもちろん、「出演者自身が歌いやすいモニター環境(返し音響)をつくること」がイベント成功の重要なカギを握ります。
今回は、ホールの常設音響設備をベースにしつつ、持ち込み機材を活用して現場の課題を解決した音響セッティングの工夫と技術的なポイントをご紹介します。
1. 客席のどこでも最適な音質に:UR44C×iPadリモートコントロール

今回の現場では、基本的にホールのメインスピーカーや常設設備を活用しましたが、音量・音質の微調整にはオーディオインターフェースSteinberg UR44Cを投入しました。
UR44Cの大きな強みは、iPadからワイヤレスでリモート操作ができる点です。
音響卓(調整卓)の場所に縛られることなく、実際の客席を歩き回りながら「来場者の耳にどう届いているか」を直接確認し、手元のiPadで瞬時にボリュームやイコライザーを微調整。
ホール特有の響きや客席の埋まり具合に合わせた、聞き取りやすく心地よい音響空間を作り出しました。
2. ホール設備の制限をクリア:UR44Cのラインアウトを活用したステージ返し

講演会で意外と落とし穴になるのが、「登壇者に届けるモニター音(返し)」の設定です。
ホールの常設設備によっては、ステージ用モニターへ送る音声のチャンネル別音量調整(マイクやBGMの個別のバランス変更)が細かく設定できないケースがあります。
登壇者にとって自分の声やマイクの音が聞こえづらいと、無理に大声を出してしまったり話しづらさを感じたりする原因になります。
そこで今回は、UR44Cの独立したラインアウト(Line Out)端子を活用。
ホール卓を経由させず、UR44C内部で「登壇者が最も聞き取りやすい専用の音量バランス」を個別にミックスしてステージ側へ送出することで、演者がストレスなく快適に話せるモニター環境を構築しました。
3. ハウリングを防ぎ狙った場所へ届ける:EV ZX1-90のホーン回転機能

ステージ用の返しモニター用スピーカーには、小型軽量ながら高音質なElectro-Voice(EV) ZX1-90を設置しました。
ここで活躍したのが、ZX1-90の大きな特長である「ホーンアセンブリの回転機能」です。
スピーカーを横置き(ウェッジモニター状態)で設置する場合、そのまま使用すると指向性(音の広がる角度)が縦長になってしまい、ステージ上の狙いたい範囲に音が届かなかったり、マイクへ音が入ってハウリングを起こしやすくなったりします。
今回、ホーン部を90度回転させてセッティングしたことで、横置きでも水平方向にしっかりと音が広がる理想的な指向性を確保。
マイクへの音のかぶり(ハウリングのリスク)を抑えつつ、登壇者の立ち位置へピンポイントでクリアな声を届けることができました。
おわりに
会場の既存設備にプロ用の持ち込み機材と現場でのアイデアを組み合わせることで、予算や制限を抑えながらも極めてクオリティの高い音響空間を実現できます。
トイボックスでは、文化講演会、各種セミナー、式典、各種イベントの音響・照明・映像制作に幅広く対応しております。
「ホールの音響をもう少し聞きやすくしたい」「登壇者が話しやすい環境を整えたい」といったご要望がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
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